ふだんの暮らしのなかに和紙の温かみをプラス
岐阜県-中部
地域
戦国武将と鵜飼の地
株式会社オゼキがある岐阜市は、日本の真ん中に位置する岐阜県の県庁所在地です。日本の真ん中という位置的要素から、岐阜は戦国時代、天下統一を目指す武将たちにとって重要な場所となり、多くの城が築かれました。織田信長が暮らした岐阜城はそのほとんどが消失し、1956年に再建されました。金華山頂に立つこのお城は、岐阜市のシンボルとなっています。
岐阜市を流れる長良川は日本三大清流として知られ、毎年5月から10月にかけて鵜飼いが行われています。鵜飼は大型の水鳥・鵜を使って川でアユを捕まえる伝統的な漁法です。1300年以上の歴史を持つ岐阜の鵜飼は現在、宮内庁保護のもとに行われています。
岐阜市のほとんどは長良川の沖積平野に位置し、その土壌はとても豊かです。
そのため、いちごや枝豆の産地としても知られています。
歴史
天皇陛下からイサム・ノグチまで
岐阜市には古くから良質な竹や和紙があり、やがて提灯の名産地として栄えるようになりました。オゼキは提灯をはじめとする荒物雑貨小売り業として、1868年に岐阜に創業しました。創業後すぐに提灯の製造も始め、1891年に岐阜提灯の製造販売を専業とするようになりました。
明治9年、明治天皇に一対の岐阜提灯が献上され、岐阜提灯の名が広く知られるようになりました。オゼキは昭和3年に昭和天皇に一対の提灯を献上する栄に浴し、現在も皇室でご愛用いただいております。
1951年、オゼキは世界的に有名な日系アメリカ人彫刻家、イサム・ノグチ氏と協力してノグチ氏がデザインした彫刻風の提灯の制作を始め、度重なる試作の末、1952年に提灯を完成しました。ノグチ氏はこれを「AKARI(アカリ)」と名付け、1988年に亡くなるまで大きさや形の違う約200個のユニークな照明器具をデザインしました。オゼキは「AKARI」に触発されたさまざまな海外アーティストとも、共同制作に取り組んでいます。
最近では多くの日本人アーティストやデザイナーとコラボをし、レター提灯などおしゃれでモダンな岐阜提灯を考案しています。
特徴
伝統の技を生かした綿密な仕事
岐阜提灯は、細い竹ひごと薄くて丈夫な美濃和紙で作るのが一般的です。
オゼキの提灯はすべて手作業で作られるため、職人の技がとても重要になります。その代表的な技が「摺込」「張り」「絵付」です。摺込は和紙や絹の上に特殊な型紙を使って模様をつける装飾技法です。張りは長くて繊細な工程です。まず、提灯の型に細く長い竹ひごを張って張型を組みます。その上に和紙や絹を貼りつけ、最後に余分な紙をカミソリで切り落として提灯の形を作ります。絵付は提灯に直接柄を描く技術です。オゼキの絵師の中には、12年以上経験を積んだ職人だけが取得できる国家資格「伝統工芸士」に認定された者もいます。
オゼキでは伝統的な提灯とは別に、地元のデザイナー則武由香氏と協力して、レター提灯を考案しました。その名が示す通り、提灯の表面にメッセージを書いて、平らに折りたたんで封筒に入れれば、手紙として送ることができます。無地だけではなく花や和風の柄が描かれたものもあり、特別なプレゼントや記念品に最適です。
お客様へ
くつろぎを与える岐阜提灯の灯り
岐阜提灯はお盆と関係していて、提灯は亡くなった人の魂がこの世に戻ってきた時に、その魂を家まで導くものだと言われています。時代が変化するにつれ、このお盆提灯はあまり広く使われないようになってきました。
オゼキでは岐阜提灯の魅力を伝えたいという思いから、レター提灯やインテリア照明など多くのモダンな提灯を考案しています。伝統的であろうがモダンであろうが、ひとつひとつの提灯に込める技術や思いは同じです。和紙を通したほのかな光の輝きが、一年を通して住まいに温もりを与え、忙しい毎日に心の安らぎを与えることを願っています。
受賞作品
金賞:ベルギー・リエージュ万国博覧会
金賞:フランス・パリ美術工芸品博覧会
銀賞:フランス・パリ万博博覧会
銀賞:アメリカ・セントルイス万国博覧会
金賞:高松全国産業博覧会
1988年:グッドデザイン賞(中小企業庁長官賞)受賞