江戸木目込を「際物」から「日常使い」へ
埼玉県-関東
地域
古い街道沿いにある歴史的な街
東京の真北にある埼玉県に位置する越谷市は、埼玉で5番目に大きな都市です。
越谷という地名は山のふもとの低地を意味すると言われており、越谷市のほとんどの地域は丘陵に囲まれた低い平地になっています。
江戸時代、越谷は江戸と約140km離れた日光山(現在の栃木県内)を結ぶ「日光街道」沿いの、21の宿場町の1つとして栄えました。日光山は関東有数の霊場として知られています。
越谷には当時の面影を偲ぶ歴史的な家屋、商店、蔵などが数多く保存されていて、その一部は国の文化財に指定されています。
歴史
70年以上の歴史を誇る柿沼人形
人形職人・初代柿沼東光は、1950年、江戸木目込人形を手掛ける柿沼人形を東京に立ち上げました。父の名を職人名として受け継いだ二代目柿沼東光が埼玉県越谷市に工房を移し、現在に至っています。
二代目東光は江戸木目込の伝統を守りながら新たな挑戦を続けており、その伝統的で画期的な作品は数々の賞を受賞しています。二代目東光は現在、伝統工芸士にも認定されています。
二代目東光の息子の1人で父から技を学んだ柿沼利光が、2016年に招き猫シリーズを考案しました。この招き猫シリーズは経済産業省の「The Wonder 500(世界にまだ知られていない、日本が誇るべき地方産品)」に選出され、フランス・パリの「メゾン・エ・オブジェ」など海外展示会にも多数出展されています。
特徴
多くの職人の手による長い工程
木目込は京都の職人が1740年頃に考案したと言われる、伝統的な人形作りの技法です。この技法はその後江戸に伝わり、独自の進化を遂げました。
人形の胴体には細い溝が彫られていて、その溝に小さく切り取った布の端を入れ込み、人形の服を作っていきます。この技が「木目込」と呼ばれています。
人形の胴体を型で抜き取ることにより、さまざまな形や大きさの人形を作ることが可能になりました。
人形作りにはたくさんの職人が関わっています。柿沼人形の工房には15人の職人が在籍していますが、全工程の職人を合わせると50人にも膨れ上がります。
木目込は工程が多いので時間もかかり、一体の人形を完成させるのに1ヶ月近くも必要になります。
お客様へ
経験から生み出した新たな作品
江戸木目込人形は古くから3月のひな祭りなど、日本の四季折々のお祭りで飾られ、楽しまれてきました。
柿沼人形では伝統的なひな人形を手がけてきましたが、もっと多くの方に私たちの良質な商品を知ってもらい日常の中で江戸木目込人形を楽しんでもらいたいという願いから、招き猫や木目込トレイシリーズを考案しました。
私たちの人形には、人と人をつなぐ力があると信じています。これからもより多くのお客様に出会い、「木目込」という言葉を世界に広めていけるよう努力していきたいと考えています。
受賞歴
2009年:第9回関東伝統工芸士会会長賞
2009年:経済産業省 関東経済産業局長賞
2010年:経済産業省 関東経済産業局長賞
2011年:文部科学大臣賞(美術部門
2011年:第11回関東伝統工芸士会会長賞